スポーツの効用

 宗教には、それぞれ「教え」があります。「隣人を愛せよ」「「人を殺してはならない」「他人から盗んではいけない」といったものです。それなのに、どうして戦争をするのでしょうか。人口が増えて、食料が足りなくなり、土地を拡張する必要に迫られたからです。

ローマ帝国も、イスラム帝国も、モンゴル帝国も、人民を養う為に土地を求めました。しかも、大量の人間を殺したり、奴隷にしながらです。そうなると、宗教の戒律は、有って無いようなもの。

現在のロシアだって、イスラエルだって、目的は同じです。人類は、そうした歴史を繰り返してきました。今後も同じような行為を続けるかもしれません。

  しかし、そんな歴史に一つの光明が現れました。近代スポーツです。スポーツが今以上に拡大すれば、人類にとって、戦争をなくすための一つの方策になりえるのではないかと思います。

 スポーツは「戦い」ではありますが、戦争とはまったく似て非なる物です。ルールがありルールを守ることを実際に学んでいきます。

また、スポーツは「自己中心」の人たちを排除する機能があるのです。集団の中での正しい振舞いが身につきます。同時に、集団とのコミュニケーション能力が高まり、衝突や反発も減っていくのが、スポーツの機能です。スポーツは素晴らしい人間を育てます。

  一方見る側にとってのスポーツはどうでしょうか?

 スポーツは勝ち負けがつきまとう一種のゲームです。御贔屓の選手が活躍すれば楽しくなり、逆に負ければ「悔しい」等マイナスの感情が湧いてきます。楽しい時はドーパミンという幸せホルモンが分泌され、悲しい時はセロトニンというホルモンが分泌されます。ドーパミンはマイナス感情を乗り越える力を与えてくれます。

 見ている側にも教えられることも多いです。選手達の逆境の中での踏ん張り、励ましの言葉、互いを信じる気持ち、試合中のコミュニケーション、最後まであきらめずに得た勝利、頭脳プレーの数々、まさに人生の縮図であり楽しいこと以上に学びの機会が多いのもスポーツです。

 そして幾つもの感動を受け、また学んだことを自分の行動にも取り入れることで、前向きな行動、人間力向上等にも大いに役立つものです。

  今回はスポーツについての記述ですが、芸術も素晴らしい人間を育てます。大いなる感動、前向きな行動、人間力向上に作用するという点は全く同じですね。